ディスコース(discourse)とは?-82年生まれキム・ジヨンに対する上地雄輔氏の発言

ディスコース(discourse)とは?-82年生まれキム・ジヨンに対する上地雄輔氏の発言

はぁ・・・っとため息が出た

以前このブログでも『82年生まれキム・ジヨン』が映画化されることを紹介しましたが、

またもや、この作品の本質をわかっていない人が関わったことにより

オンラインではプチ炎上。

『82年生まれキム・ジヨン』とは韓国で大ヒットした小説であり、

今や世界中で読まれている本です。

何が大ヒットさせたのか、それは女性の生きづらさが、目に浮かぶような描写で描かれていたから。日常的に潜む差別に多くの女性は少しずつ自分を削られていく。それが鮮明に描かれていたからです。

上地雄輔氏の発言について

さて、TBS「グッとラック」でこの『82年生まれキム・ジヨン』の映画がとりあげられましたが、

上地雄輔氏の発言は本当に悲しくなるものでした。

「男性も痴漢に間違われないように満員電車やバスで吊革を持っていないといけない」

え・・・

もう、まじか。

これは国際開発の分野でよく言われる “Discourse”だなぁ、なんて冷静に考えてしまったのでそのことについて書きます。

ディスコースとは?

ディスコースとは:

ある言葉や行いが、それが語られたあるいは行われたコンテクストの中で、何を意味し、またなぞぜれを意味するようになるのか(なったのか)を分析する概念。

例えば「北朝鮮は怖い」という言葉があったときに、北朝鮮は北朝鮮であるがゆえに怖いのではなく、そうしたイメージを生み出す何らかの力(意図しているかしていないかにかかわらず)が働いていると考えられる。結果として北朝鮮という言葉に付与されている意味・イメージと、そうなるに至ったメカニズムの両方をディスコースはさす。

International Development Magazine

上地雄輔氏がコメントした小説のシーンについて知らない人も多いと思うので説明すると、

キム・ジヨンが学生時代バスで帰宅中、不審な男性がついてきたせいで怖い思いをし、父親にバス停まで迎えにきてもらったが、父親は逆に「こんな遅い時間に何しているんだ!」と言わんばかりにキムを叱ったシーンなんです。

このシーンで描いているものは、

(1)女性が性的な対象であること

(2)遅い・暗い時間に外に出ている女性が悪いとされがちであること

(3)加害者の男性は基本的に触れられない

なんていう、不平等を描いているシーンなんです。

本来社会が平等であれば女性だって暗い時間に外に出られるはず。

「暗い時間に外に出ていたから被害にあったんだ」と女性のせいにするのはまったく見当違いのことだってすぐわかります。

だって被害にあったのは加害者がいるから。暗い時間に外に出ていたから被害にあったんだと被害者を攻めるなんておかしい。

・・・けど、今の社会は女性が「悪い」と思われがち。

そんなシーンをキム・ジヨンでは描いている。

そのため

上地雄輔氏は「男性も大変だよ痴漢に疑われて」というのは話の本質をそらす行為にあたり

「女性ばっかり大変なわけじゃなくて男性も大変なんだよ」と発言することにより社会の根本的な不平等から目を背けさせたわけです。

だから私がここでdiscourseがあったと思ったのは、「女性が性的な対象にされているという事実を隠し、男性も大変なんだよという像を描くことで権力を維持しようとした」から。

「平等」を実現しようとしている全てのジェンダーにとっては、本当に悲しい出来事です。

#KuToo運動を始めた石川優実氏のアクション

私はプンプン怒っているだけでしたが、#KuToo運動を始めた石川優実氏の素早いアクションは本当に頭が上がりませんでした。

そして公開質問状を送るという行動に、本当に私としては大きな学びがありました。

質問内容を公開することで、「あれ?おかしくない?」と感じている人たちが集まりアクティビズムコミュニティができる他、このようにジェンダー問題に対して行動したらいいんだよ、と提示してくれている気がしました。

どのような返事がくるのか、気になるところです。

今日はここまで、ナッツ。

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