Finding a Common Ground -共通項を見つけるダイアログの姿勢とは –
- 2021.02.14
- コラム/ column
- ジェンダー平等, 社会構造
不平等に関する本音が出てきたのはいいこと
オリンピック元会長の森氏による性差別的発言に対し日本国内では今様々な声が上がっています。
毎日のように、テレビや Twitter(最近だとClubhouse?)で議論が行われ、「性差別を許さない」という姿勢を、女性にだけに限らず様々なジェンダーが声をあげていることは本当に社会の前進を感じます。
しかし、同時に社会が「ありたい姿」を巡って論争しているのを見ていると、このプロセスのままで本当に社会はよくなるのか?と少し危機感を持ち始めています。
私が、偽善者を気取りたいから、そう言ってるわけではなく、一歩引いた目で現状をみていると「性差を絶対に許さない」人たちと「なぜそこまで怒っているのかわからない」人たちと「森さんの発言には問題がなかった」人たちで社会が分断されていっているように感じているからです。
私も性差別には断固反対です。ただし、反対を主張するフェーズの次は、より良い社会を目指すために、様々な意見のCommon Ground (共通項)を見つけ話を前に進めなければいけないと思っています。なぜならば、対立し・分断されたたままでは話が前進しないからです。
なぜ今回のような発言がよくないのか、なぜそんなに気にすることはないと思うのか、なぜ間違ったことをしていないと思うのか、一人一人の考えや意見を共有し、今後日本が発展するために必要なステップが何か、お互いに聞く耳を持って、腹を割って話さなければいけないと私は思います。
本音が出てきたからこそ、ここからは対話を
1つの政治的思想や社会思想だけが強行突破される社会は、健全な社会の姿であると言えません。社会とは様々な考えを持っていることが混在して成り立っている場所です。全く自分と異なる意見を持つ人とも共存し、社会を作っていかなければならないのです。
「自分の意見とは合わない人とは接しない」こともできます。ただ、本当にそれは理想的な社会の姿でしょうか?様々な意見が時には対立しつつも、お互いの存在を認めることが新の多様性であるとも言えます。もちろん誰かが傷つく・犠牲になるような考えは許されません。ただ、共存を可能とするのは対話を繰り返すしかないというのも事実です。対話を通じて「共通項」を見つけ、集団として社会をより良い方向へ導かなければなりません。
私たち人間は共通項を見つけられた瞬間、どんなに対立した考えを持っていても、相手と人間的な付き合いをできるようになります。そして、本当に安定した社会というのは様々な考えが共存できている状態であると私は思っています。今回のオリンピックの出来事を踏まえ、日本をより良い場所にするためにもまずは分断されている状態を修正しなければいけません。つきまして、今日は異なる考え方を持った人と共通項を見つける際に必要な対話の姿勢についてご紹介したいと思います。
共通項を見つけるための対話の姿勢
(1) 心も体も、その場にいる状態にしましょう
人の話を聞くことで多くのことに気づけ、その人のことを知ることができます。しかし現代に生き、スマートフォンなどに気をとられがちな私たちは本当に心からその場にいて会話をしているでしょうか?しっかりその場に心も体も存在させ相手の話を聞くことを心がけてみましょう
(2) 共感できる点に気づき、言葉にしましょう
自分と異なる考えを持った人に対し共感できる点を見つけるのは容易ではありません。会話を始める前から、共感できる点なんてあるわけない!そう思っているかもしれません。一歩俯瞰して話を聞いてみたらどうでしょう?もしかしたら目の前の真逆な意見を持っている人も社会をよりよくしたいと思っているかもしれません。しっかり聞いて共感できる点を見つけ相手に伝えてみましょう
(3) 正しくあることより、理解をしましょう
正しさを主張することは楽です。ただ両者が「正しくあること」にだけ集中してしまうと、結論は永遠と出ません。結論が出るどころかお互いの距離は離れていくばかり。正しくあることよりも、相手を理解する姿勢を持ちましょう。そうすれば解決方法を導く道筋ができるはずです
(4) 相手に敬意を持ちましょう
会話のトピックとは少し離れまずが相手に敬意を持って接することはとても大事です。敬意がなければ相手をそれを察してより壁を作ってしまうでしょう。人間誰しも自分は大切な存在であると思いたいものです。誰にも欠点・欠陥はあります。どんな相手にも敬意を持って話しましょう
(5) 思いやりを忘れないようにしましょう
どんなに自分の哲学や考え方と異なる発言があったとしても、言葉を返す時の思いやりは忘れてはいけません。言葉にはナイフのような鋭さがあり、時に気づかずそのような言葉を返してしまいそうになります。そこはぐっと堪えて、優しさ・思いやりのある言葉で自分の意見や考えを述べましょう
reference: 5 Characteristics of a Common Ground Conversation
今こそ社会が前に進むダイアログ作りが必要
社会がより良い場所になって欲しいという思いから、声をあげている人がほとんどだと思います。だからこそ、本音が出てきた後の過程をも大事にしてほしいなと思っています。時間はかかりますが、丁寧な対話の元作り上げられた社会は崩れにくいものになります。
上記で述べさせていただいた姿勢というのはすぐできるものではありません。守ろう、、と思ってもなかなかできないものです。そして対話の中ではすべての人物がこれら姿勢を重んじなければ力関係がおかしくなります。自分一人だけがやればいいというものでもないので余計に難しいです。
日本はまだまだジェンダー平等という概念が輸入された考えだと感じている人が多いように思います。日本にとって、アジア人にとってジェンダー平等とはどういうことなのか対話を通して、様々な視点から作り上げられたいいなと思います。
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